人は腎臓から死んでいく

健康

毎日25キログラム程度の塩分の出し入れを
行っている健全な腎臓にとって、
通常の生活で摂取する
10~20グラムの塩分負荷はまったく問題がないように思える。

正常な大人の腎臓に入る血漿流量はおよそ500~700ミリリットル/分といわれ、
これを血液量に直すと1.2~1.3リットル/分となる。
これは心臓で送り出される血液量のおよそ4分の1に当たる量である。
糸球体でろ過される量はおよそ100~150ミリリットル/分であり、
腎臓への血漿流量は500~700ミリリットル/分であるから、
血漿量の約20%がろ過されることになる。

 ここで糸球体ろ過量と塩分排泄量から塩分の出入りを考えてみる。
血漿中のナトリウム濃度を150ミリグラム当量/リットル(3.45グラム/リットル)とすると、
糸球体でろ過されるナトリウム量は一日に497~745グラムにもなり、
塩分に換算すると1240~1860グラムとなる。
すなわち、1日に1.5キログラム程度の塩分がろ過されて一度は体外に出ることになる。

 しかし、尿中には、塩分摂取量によっても異なるが、1日に約15グラム排泄されるとすると、
糸球体でろ過された塩分の約99%以上は尿細管で再吸収されていることが分かる。
水分についても同様で、ろ過量を1日当たりに換算すると144~216リットルにもなり、
家庭用の風呂水ほどろ過している勘定になる。
尿としては1日に1.2~1.5リットルしか排泄されないから、
ろ過量の99%以上は尿細管で再吸収されていることになる。

このように、腎臓は老廃物を排泄するために毎日大変な仕事をしている。
塩分が尿中へ排泄されるのは、
大量の糸球体ろ過と大量の尿細管での再吸収のバランスによって成り立っている。
このことは尿細管のほんのわずかな再吸収機能の変化によって、
細胞外液(例えば血漿)のナトリウム量を調節できることを意味している。

 細胞外液のナトリウム濃度は一定であり、
摂取されたナトリウム量とほほ等量が排泄される仕組みの中では、
塩分摂取量の多少による排泄量は、
尿細管でのナトリウム再吸収の多少によって調節される。
塩分の摂取量が少なければ再吸収率が上がり、多ければ下がる。

 例えば、
1グラム程度の塩分摂取量で生活している無塩文化の未開発民族は
99.9%以上の再吸収をしており、
30グラムもの塩分を摂取している多塩文化の文明人は、
30グラムを排泄するために98%程度を再吸収しているということになる。

 以上のことから、
毎日25キログラム程度の塩分の出し入れを行っている健全な腎臓にとって、
通常の生活で摂取する10~20グラムの塩分負荷はまったく問題がないように思える。

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