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●塩の専売は大蔵省が管轄 
塩屋さんが書いた塩の本』
松本永光 著
 

塩の専売は大蔵省が管轄
 日本での専売は、江戸時代の各藩が鉄、銅、生糸、茶、
たばこ、塩、砂糖など多くの商品で行っていました。
これらの商品は市民生活に非常に大きな価値があるため、
非常に儲かったのです。そういうものはすべて専売にして、
藩の財政源にしていたのです。近代的な専売制度が
実施されたのは、明治三十一年からの「たばこ」でした。
日清戦争後の困難な財政を建て直すために施行されたと
いわれます。塩の専売は、明治三十八年に始まりました。
これも、日露戦争のための収入源の確保という目的がありました。
 このように財政面での目的が大きかったために、
はじめはたばこも塩も、大蔵省専売局の管轄下にありました。
大正八年には公益専売になり、戦後の昭和二十四年六月に
日本専売公社が創設されてからも、たばこと塩の専売は大蔵省の管轄下で
同公社が扱ってきました。日本専売公社は、その後昭和六十年四月に民営化され、
「日本たばこ産業株式会社」という会社になったのです。
これとともに、たばこの専売制は廃止されました。
ところが、塩の専売は廃止にはならず、
そのまま国(大蔵省)の専売業務を委託された形で日本たばこ産業株式会社が
同じように管理しています。

※補足 1997年、専売制が廃止された。
(併せて、日本たばこ産業株式会社の事務は財団法人塩事業センターに移管)。
2002年、販売が完全自由化された。
●失われてしまった塩田と本当の塩

塩田製塩業のほうは、第2章でみたように、
揚浜式塩田から入浜式塩田、そして流下式塩田と発展してきました。
昭和四十六年までは、盛んに行われていました。
しかし、「農耕的製塩から工業的生産に移せば塩の値段が安くできる」ということで
食品としての品質のことほ誰も気がつかないうちに、昭和四十六年、
国会で「塩業近代化臨時措置法」という法律を通過させてしまったのです。
これによって流下式塩田はすべて廃止され、
すべての塩がイオン交換式製塩装置によって作られるようになったということも
前章で述べたとおりです。
たしかに多雨多湿で冬は寒く日も短い日本では、
塩田による塩作りは外国と比べてもあまり効率的ではありません。
大切な工業の生産性やコスト面から考えれば、イオン交換膜による製塩も
大切な技術だったと思います。
しかし、だからといって、
むかしからいろいろな工夫で行われた日本独特の製塩技術を
抹殺してよいということにはなりません。
 たしかに、海水に含まれるにがり分はとりすぎると体に悪いものです。
これが、化学の力で苦もなくはとんど取り除かれるわけです。
しかし、むかしからの塩田でとれた塩も、
にがり分を除くためにいろいろな工夫が行われていました。 
たとえば、にがり分というのは湿気をより多く含みますから、
とれた塩は一度梅雨時を越させるのです。
こうすると、にがり分が溶けて流れ落ちます
あるいは焼塩にしてにがり分をとばすということも行われます。 
こうして自然の力だけで工夫され七塩は、適度なにがり分が残っているために、
トゲトゲしいしょっばさがありません。これが自然の味です。
ところが化学的に、
塩化ナトリウムの純度を一〇〇%に近くしてしまうイオン交換式の塩は
不自然に味が暴れてしまうのです。
工業用に塩化ナトリウムの純度が高い塩を使うのほ、大変に良いことなのでしょう。
しかし、私たちは人間です。
人間には、適度のにがりのある自然の塩が合っているのです。
人間の体は、もともと海水に近い成分の血液が流れています。
海水から生物が誕生して、やがて人間まで進化したのですから、
そういう自然のミネラルバランスを保った塩分は私たちに不可欠です。
塩化ナトリウムばかりでも、人間の体には悪い影響が出るのです。
このようなことに気づいた人々のあいだに、
当然のように始まったのが「自然塩運動」でした。
全国の多くの人から署名を集めて請願したため、
いかに国といえども無視することができません。
 こうして、昭和四十八年六月になってようやく専売公社(当時)から認められ、
特殊用塩という妙な名前で製造販売を許してもらえたのが
「自然塩」であるというわけです。
本当の自然塩を使う意味
●集まった五万人の署名
 昭和四十六年四月、塩業近代化臨時措置法が成立し、
従来の塩田がすべて廃止されることによって
高純度の塩が画一的に製造販売されるようになりました。
 このように、
工業化優先、効率主義優先政策に危機感をもった故・西本友康氏
(当時香川県宇多津町の扶桑塩業組合組合員)は、
イオン化学塩では日本民族が危ない!」と警鐘を鳴らしました。
 これに共鳴した
松山市の自然食養生指導者・菅本フジ子さん(現日本自然塩普及会会長)、
農業・高岡正明氏(現伯方塩業社長)、
農業・丸本執正氏(現伯方塩業工場長)、
それに私らが呼び掛け「塩の品質を守る会」を結成しました。    つづく



塩をとらないとどうなるか
これだけ大切な役割を果たしている塩をとらないで生活しようとすると、どういうことが起こるのか
新陳代謝が衰える 若さとは、新陳代謝が活発であるということです。小学生などは、多少けががをしても、みるみる傷口は治ってしまいます。外科手術の前後には、充分な塩分をとらせないと、傷口の回復がが遅くなるそうです。また、美容面でもいいことはありません。古い細胞にとってかわるスピードが遅いから、肌もカサカサになってみずみずしさを失ってしまうでしょう。成長期だったら、さらにいろいろな障害がが出てきます。
食欲減退 消化能力が落ちるうえ、美味しさを感じにくいので、食欲が落ちます。体力も衰えていくでしょう。吐き気、嘔吐、むかつき、下痢、便秘など、さまざまな胃鵬の症状も起こりす。肉体労働の仕事につく人は、夏場などは汗によって、1日に30〜40グラムもの塩分を失うそうです。そういうときに、「血圧が高いから:::」などと塩分を制限すると、食欲が落ち、体力がが落ちて、思わぬ大病につながったりしかねません。デスクワークのサラリーマンにしても、減塩を心がかけている一方で、毎日がデスクワークだからとジムに通い、のどがが渇いたからスポーツドリンクという名の実は塩分の入ったものを飲んでいます。スポーツドリンクは、水分の補給と同時に塩分の補給に役立っているのです。
筋肉が弱る 体内に塩分が足りなくなると、筋肉は「塩が足りないぞ!」とぱかりに縮んで堅くなってしまいます。このとき、筋肉のいろいろな組織は、縮んだ筋肉の中の狭い所に閉じ込められ、仮死状態にまでなってしまうのだそうです。筋肉の反応が鈍くなるので素早い動きがができなくなり、また足腰も弱ります。スポーツ中に急性の筋肉痛が起こったり、けいれんを起こしたりしたとき、塩水を少しずつ飲むだけで治ることが少なくありません。これは、あきらかに水分と塩分の補給が遅れた状態です。
心臓が弱る 心臓という臓器は、血液を瞬時も休むことなく規則的に送り出してしいるのですから、塩分が不足すれぱ弱ってくるわけです。もちろん、ほかの臓器も同様です。体の内臓は、ほとんど塩の刺激で動いていると考えてください。その筋肉が元気ならば、心臓も脳血管も、手足も、すべて順調なのです。塩がなけれぱ心臓は動きません。
腎臓が弱る 腎臓にとつて塩分は、そのはたらきをまっとうするために必要不可欠な成分でぁることをすでに述ベました。塩をとらないと腎臓機能も弱まります。体内で塩がたりなくなると、腎臓は尿のなかに出した塩分をもう一度吸収して体内に戻すのですが、これが腎臓の過労状態になり、‐ダウンしてしまうのです。また、尿の量が減るために、体内の老廃物の排泄ができなくもなります。
人間がダメになる そのほかにも、いろいろな症状が起こりてきます。まず、倦怠感や脱力感です。塩は、いわぱ元気を出すための潤滑油ですから、これが欠乏するとやる気が起こらず、家でゴロゴロしていたくなります。楽を選んで努力しないようになってしまい、自堕落に陥るようになります。精神的にも受け身になって、誠実性を失ってしまいます。水分や塩分の不足は、とくに体の小さい子供たちに起こりやすいので、お母さん方は注意してあげてください。カゼなどで下痢や嘔吐を起こしたら、必ず水分と塩分の補給をすることが大切です。なお、ミネラルという意味では、子供たちには、カルシウムがいつも十分に必要です。カルシウムは、人間の精神的な安定を促しますから、そろそろ思春期という子どもには、牛乳はもちろん魚介類、海藻などをこまめに食べさせるように心がけると良いそうです。
減塩がすすむことによって起こる症状
おとなしくなりすぎる
暴れる囚人に塩抜きの食事を与えると、おとなしくなるそうです。このまま減塩運動がすすめば、日本中の人が元気のないやる気のない状態になってしまいます。戦場で戦った兵士は、常に塩袋を持っていたと言われています。塩不足は、長い人生における自分自身との戦いに勝つこともできなくなってしまうでしょう。
アレルギーの増加
正しい塩分が血液中に含まれている中庸体質の人に、HIVは感染しません。陰性化した血液にHIVが感染するのです。エイズ患者に、いかに適塩が大切か分かります。
ガンや奇形の増加
東洋医学的には、大腸は皮膚、のど、鼻などと気が流れる経絡という通 路で繋がっています。大腸が腐敗状態にあると、皮膚病、喘息、アレルギー性鼻炎、花粉症などのアレルギーが現れます。腐敗ということは悪い菌が増えることです。たとえば漬け物を造る時に、塩が不足した場合は、漬け物が腐ります。これは塩不足によって悪玉 菌(腐敗菌)が殖えたためです。同様に、私たちの食生活で塩不足になると大腸菌がいつも腐敗状態でアレルギーになりやすい体質になることが分かります。アレルギーの予防、改善にもまず適塩が大切なのです。
病原菌に弱くなる
塩不足の漬け物はすぐ腐るように、人間の細胞も減塩では腐りやすい体、すなわち病原菌に犯されやすい体となる。お風呂に入ると、汗とともに塩分が失われます。その後に、梅しょう番茶を一杯飲んで塩分を補給しておくと湯冷めして風邪をひく心配がない、という昔からの知恵は本当にすばらしいものであります。ボケ、思考能力低下、痴呆症なども減塩するとなりやすいと考えられます。