お塩の効用 使い道B 生活活用編
塩は調味料、保存食用などとして使われるだけでなく、塩が本来もつている種々の働きを活かして、
暮らしの中で実に多方面にわたって有効に使われてきました。
最近では、環境破壊につながる種々の生活用品の見直しが提唱され運動化されていますが、
「塩の有効な活用」は安全性と共に経済的な面からも大いに期待されます。
知っておけば必らずお役に立つ、ぞんな使い方を紹介しましよう。
まな板、ガラス・陶器の食器は塩で
まな板はとかく臭みのある汚れがつきやすく、直接料理に触れるので、
ここはぜひ塩で洗い流したいものです。雑菌がとれます。
ガラスや陶器の食器などふだんから塩で洗つておれば、中性洗剤は不要です。
経済的であるばかりでなく、塩は皮膚にやさしく、食器などを洗ったあとはスベスベとして、
あとでクリームなどをぬる必要がありません。食事のあと片づけで手が美しくなる
なんて、楽しいことですね。
台所は塩で磨<心がけで
どこの家庭でも、台所では中性洗剤が大活躍しているようです。
これは手軽に使え、汚れも落とす反面、農薬などと共に自然破壊の一大元凶に
なっているばかりでなく、皮膚を傷め(アトピー、アレルギー性疾病など)、
ときには料理の味にまで影響することがあります。
塩はもっとも安心できる強い味方です。塩で洗い流される「うすい塩水」は、排水孔・路の浄化にも役立ちます。
茶しぶ落としには 塩が一番効果的
塩は茶しぶの成分であるタンニンと結びついて、こびりついた茶しぶをきれいに洗い落とします。
瀬戸ものの表面を傷つける心配もなく、まさに天然の磨き布と磨き砂のような働きをしているのです。
そして手がいちだんとスベスベに美しくなるのがうれしい。
頑固な”汚れ“もやさしく一掃 衣服にコーヒーやワイン…大変
塩のもつ特異な性質、吸水性が種々の汚れを吸いとって、
それ以上に汚れが拡がるのを防いでくれますので、あとにシミをつくらないための効果も大いに期待できます。
化学薬品と違って人体への心配もなく、むしろ皮膚の保護と美しさに役立つのがなによりの安心です。
●衣服にコーヒーやワイン…大変
衣服にコーヒーやワイン、その他シミが心配になるようなものをこぼしたら、
まず応急処置として、すぐに手近にある塩をふりかけます。
汚れの上にたっぷりと山を積み、時間をおいて 汚れの水分を吸わせます。
吸いとった頃を見はからってから、まるめとります。その後、シミのついたものに合ったシミとりをします。
弱った金魚は塩水で回復
水中で横になったり腹をみせて泳いでいる場合、よく観ると、尾やヒレに張りがなくなっています。
尾ぐされ病といわれるもので、他の金魚にも影響しますのですぐ別にして、
薄い塩水に入れてやります。そしてだんだんと濃くしてやるのがコツです。
ちょっと元気がないなと思われるときも、ひとつまみの塩を入れてやると、元気が回復します。
もとどおり元気になったら、水槽にもどしてやります。
観賞魚用の水槽は塩水で殺菌
買ってきた水槽をはじめて使うときに忘れてならないのは、水洗いでよごれを落としたあと、
もう一度塩水で内部を洗うことです。
これを忘れると、金魚や熱帯魚が弱ってすぐに死んでしまうことがあります。
水槽に付着しているバイ菌を塩が消毒する働きをするのです。
また鑑賞魚を飼う場合に欠かせない水草は、水洗いだけでは完全消毒できません。
焼きミョウバンを水に混ぜてこれで洗ってから水槽に入れれば安心です。
塩の洗た<で衣服も美し<
塩には色どめの作用がありますから、木綿で色落ちの心配なものは、
塩水につけておくと多少防ぐことができます。
血がついたときは、ひとつまみの塩をすりつけて手洗いするときれいになります。
スポーツウェアなど、脂じみてよごれが落ちにくくなりますが、塩を入れたお湯で煮洗いするとサッパリとなります。
軽いものなら、熱湯に塩を入れて洗ってもよいでしょう。
シミぬきにはレモンをつけて
シミぬきをするときに、よく利用するのがレモンの切れはし。
しかしこれだけでは不十分で、必らず塩をつけてこすることです。
レモンの酸と塩の吸収力が互いに効果をたかめ合うからです。
シミとりにガソリンを使う場合も、ひとつまみの塩を加えると輪ジミになる心配がありません。
塩は水分を吸収する、塩が水に溶けるときに熱を奪う、塩は脂を溶かす、塩の殺菌作用
といつた性質を利用して、人々は生活のいたるところで大いに活用してきました。
化学洗剤の普及や種々の「便利グッヅ」の出回つた現代ですが、
「生活者の智恵」が生みだした「塩の効用」は、家事の強い味方でもあります。
切り口に濃い塩水で 生花が元気に
花の切り口を斜めに切って(表面積を広げる)、濃い塩水につけたり、
または塩をすりこんでから花びんにさすと、いつまでもしおれません。
塩には植物の浸透圧を高める働きがあり、切り口の中の細胞液の濃度が高められ、
この作用によって、水にいけたとき、細胞膜を通して水を吸収しやすくなります。
また、花びんに氷を入れて水温の上昇をおさえて(5℃くらいがよいとされる)やると長もちします。
氷枕・氷のうにひとつ、氷が長持ち
氷枕や氷のうは、半分くらい水を入れますが(ゴロゴロしない、使いやすい)、
それだけで氷も溶けやすくなります。 そこでこの中に塩をひとつまみ入れます。
温度が低く保たれて、氷が長もちするのです。アイスキャンデーを作るときに、氷に塩をまぜるのと同じ原理です。
家具・調度のよごれ落としと 美しさにも
化学洗剤が今日のように売られていなかった時代には、各家庭で塩を水に溶かしこんでは、
家具・調度をせっせと磨いたものです。
竹細工や藤の家具は、バケツー杯の水に大さじ二つくらいの目安で、雑巾をかたくしぼってふきます。
特に膝家具の場合は、独得の趣を保つために塩水でのブラッシングを。
黄ばみや黒ずみの出たところもきれいに落ちます。
藤家具はかまわずに放っておくと、早く古びてしまいますから要注意。
戸や障子の手アカの汚れもきれいになります。
じゆうたんに調味料・汚物が…
じゅうたんの上に、しょうゆやソース、
そしてマヨネーズやケチャップなどドロッとした調味料をこぼしたときは、
手近にある塩をたっぷりと山のように積みます。
また、じゅうたんの上に嘔吐をしてしまったときにも、塩を使ってみましょう。
汚物の水分を塩が吸いとるのをまって、あと始末をします。
犬や猫のそそうのときにもこの方法でやってみて下さい。
銅なべの緑青とりにも
長く使っていると内側が黒ずんできますが、心配ありません。
90ccの酢に大さじ半杯の塩をまぜ、これを吸湿性のよい布につけて強くこすれば、とれます。
あとは手早く水洗いをして、さらにクレンザーをつけて磨き、水で洗い落とします。
でも緑青は体に悪いし、なべも傷みますから、日頃の手入れを十分にして出さないようにしたいものです。
重宝な食器類に塩を使つた伝統的な方法
ガラス器、陶器など由緒ある食器を何代にもわたって使い続けるヨーロッパでの塩の使い方を紹介しましょう。
ガラス器(コップ類)の中に、新聞紙を細かくちぎって水と共に入れ、塩を加え、
上を掌でおさえて強くふってすすぎます。
また、塩に胡粉(チョーク)を混ぜてフランネルで磨く方法もよく使われます。
皿や磁器を割れにくくする方法として、塩水で煮るというのもヨーロッパでよく用いられる方法です。
新しく買ったものを、まず塩水で煮てから使うのです。
湯あかなどには酢やホウ酸と一緒に使う
ヤカンの湯あかは、こびりつくと少々こすったくらいではなかなかとれません。
毎日気をつけてきれいにしたいものです。
これをとるには、酢をたらした濃い塩水にヤカンをひと晩つけておき、翌日、金タワシでこすります。
グラタン皿は、使いこむうちに茶色のよごれがついて落ちにくくなってきます。
この場合は、ホウ酸と塩とを少量ずつ入れた水につけておくときれいになります。
象牙、金属の食器などは、塩と酢を混ぜ合わせた液をブラシにつけて磨きます。
材質を傷つけることのないように気をつけましょう。
なべ類もぴかぴか 焦げ落としにも
なべ磨きにも塩は威力を発揮します。
アルミニウム製のなべ、ヤカンなどは、塩をキルクまたはスポンジに少しつけて磨きます。
いつもピカピカと美しさを保ってくれます。
アルミなべを焦がしたときは、中に塩をひき、二時間くらいおいてからこすります。
それでも落ちなければクレンザーにアルコールをたらし、タワシなどで根気よくこすります。
フライパンの焦げつきも同じ要領で。 そのあと、油をしませた布で内側を拭いておきます。
畳にインクが、あわてずに塩を
こぼれたインクの上に塩をたっぷりとふりかけます。
塩の成分とインクの成分が化合して塩化鉄になりますが、これは非常に水に溶けやすいのです。
しばらくおいてから、手早く乾いた雑巾でふきとり、あとはかたくしぼった雑巾でたたくように封こきとります。
インクはあとかたもなく消えるでしょう。
ほうきの穂は塩水で すっきりしなやかに
さっととり出せる手軽さ、小河りが利く点などで、ほうきもすてたものではありません。
しかし使いこんで手入れをしないほうきは、穂先がなぎなたのように曲がってしまいます。
海水程度(3〜3.5%)の塩水に2時間くらいつけておきます。
穂先がやわらかくなったら水気をきり、形を整えて日陰に吊るし、自然に乾かします。
癖が直るだけでなく、しなやかになって使いやすくなります。買ったばかりのほうきも、
まず塩水につけてから下ろすと、長もちして、しかも使いやすくなります。
凍結防止・玄関先や道路などの安全に
雪の少ない地方では、にわか雪に見舞われると、たちまち混乱がおきます。
アメリカでは雪が降ると、玄関先に雪かきのあと塩をまき、人がすべらないように配慮するのが普通とか。
雪の多い地方では、道路の凍結防止や、融雪・融氷用に塩が大量に使われています。
塩の氷点降下(氷点はマイナス21度C)を利用したものですが、
こびりついた雪(特に北側にいつまでも凍結して残っている雪)などを
早く溶かしたいときに応用してみては。
化学洗剤が今日のように売られていなかった時代には、各家庭で塩を水に溶かしこんでは、
家具・調度をせっせと磨いたものです。
竹細工や藤の家具は、バケツー杯の水に大さじ二つくらいの目安で、雑巾をかたくしぼってふきます。
特に膝家具の場合は、独得の趣を保つために塩水でのブラッシングを。
黄ばみや黒ずみの出たところもきれいに落ちます。
藤家具はかまわずに放っておくと、早く古びてしまいますから要注意。
戸や障子の手アカの汚れもきれいになります。